マインド・ブレーカー.net
MBE DATABASE // LIVE · ENTRIES: 24 · REPORTS LINKED: 42
MBE // MIND BREAKER EXPLOITS

認知脆弱性
識別子データベース

ITセキュリティ業界の「CVE(共通脆弱性識別子)」をモデルに、 人間の脳に存在する認知バグを体系化したリファレンス。 各エクスプロイトがどのレポートで観測されたかまで追跡する。

CRITICAL(9.0+)
HIGH(7.0–8.9)
MEDIUM(5.0–6.9)
LOW(0–4.9)
自分のバグをスキャン →
MBE-ID 脆弱性名
BUG-001
確証バイアス
Confirmation Bias
自分の既存の信念や仮説を支持する情報を優先的に探し、矛盾する情報を無視・過小評価する認知の傾向。信念が強いほど作動しやすく、反証を提示されると逆に信念が強化される「バックファイア効果」を伴うことがある。
BUG-002
権威バイアス
Authority Bias
権威があると認識された人物・機関の意見や指示を、内容を批判的に検討せずに受け入れる傾向。権威の外見(白衣、学位、肩書き、自信に満ちた話し方)だけで発動し、その分野の実際の専門性とは無関係に機能する。
BUG-003
ハロー効果
Halo Effect
ある人物・ブランドの一つの優れた特性が、他のすべての特性に対する評価を引き上げる認知バイアス。外見が魅力的・カリスマ的な人物の発言は、その内容の正確性とは無関係に信頼されやすい。カルト的指導者の形成に強く関与する。
BUG-004
サンクコスト効果
Sunk Cost Fallacy
すでに回収不可能なコスト(金銭・時間・感情的投資)を根拠に、合理的には撤退すべき行動を継続する傾向。高額セミナー・カルト・MLMが段階的に投資を増やさせる設計(フット・イン・ザ・ドア)と組み合わさると、離脱コストが指数関数的に上昇する。
BUG-005
バンドワゴン効果
Bandwagon Effect
多数の人が採用・支持しているという事実だけを根拠に、その信念・行動を正しいと判断する傾向。「みんながやっている」という社会的証明はその主張の真偽とは無関係だが、認知上の近道として強力に機能する。SNSにおける拡散・いいね数・フォロワー数が主な悪用媒体。
BUG-006
後知恵バイアス
Hindsight Bias
事後に「最初からそうなるとわかっていた」と感じる傾向。偶発的な成功体験(プラシーボ、自然回復)を特定の介入の効果として誤帰属させる。「飲んだら治った」は因果ではなく相関に過ぎないが、強力な体験として記憶に刻まれる。
BUG-007
アポフェニア(パターン過検出)
Apophenia / Pattern Overdetection
無関係な事象の間に意味のある関連・パターンを見出す傾向。偶然の一致を「予言的中」「サインの存在」として解釈する。陰謀論・スピリチュアルの核心メカニズム。点を繋げたくなる衝動は人間に深く組み込まれており、過去には捕食者の動きを察知するために有用だった。
BUG-008
ナチュラリズム誤謬
Appeal to Nature
「自然なもの=善・安全・正しい」「人工的なもの=悪・危険・間違い」という誤った二項対立。砒素も水銀も「天然」だが致死性がある。合成ビタミンCは天然のものと分子構造が同一だが「化学合成」として忌避される。オーガニック原理主義・自然療法信仰の基盤バグ。
BUG-009
サイエンスウォッシング(技術的権威の借用)
Science Washing
「量子」「波動」「分子」「エネルギー」など科学的に聞こえる用語を、実際の科学的文脈から切り離して意味不明な形で使用することで、主張に科学的正当性があるかのような印象を与える手法。科学的外観と科学的内実のギャップが検出困難度を高める。
BUG-010
共有精神病(フォリ・ア・ドゥ)
Shared Psychosis / Folie à Deux
精神的に強い影響力を持つ人物(プライマリー)の妄想的信念が、密接な関係にある他者(セカンダリー)に伝染する現象。カルト・閉鎖的コミュニティで発生しやすい。集団規模になると「フォリ・ア・マッス(集団精神病)」と呼ばれる。孤立化(BUG-016)と組み合わさると急速に進行する。
BUG-011
DARVO(否定・攻撃・被害者の反転)
DARVO — Deny, Attack, Reverse Victim and Offender
加害者が責任追及された際に用いる三段防御。①否定(「そんなことはしていない」)②攻撃(「あなたこそ問題だ」)③被害者ポジションへの反転(「私が被害を受けている」)の順で展開する。NPD保有者が最も頻繁に使用するパターン。批判を封じ込め、追及者を加害者に見せる効果がある。
BUG-012
Love Bombing
Love Bombing
ターゲットに対して過剰な称賛・愛情・関心・特別扱いを短期間に集中投下する手法。ターゲットは「この人は特別だ」「この集団は居場所だ」と感じ、強い依存・忠誠心・義務感が形成される。NPDの「理想化フェーズ」の核心。カルト・マルチ・詐欺ロマンスで広く使われる。
BUG-013
ガスライティング脆弱性
Gaslighting Susceptibility
長期的な関係・権威関係・孤立状態において、他者からの継続的な現実の書き換えに対する抵抗力が低下する状態。「あなたの記憶が間違っている」「あなたは過敏だ」を繰り返し受けることで、自己の知覚・判断への信頼が損なわれ、操作者への依存が深まる。
BUG-014
フット・イン・ザ・ドア(段階的服従誘導)
Foot-in-the-Door
小さな要求への同意が、より大きな要求への同意確率を高める心理現象。「一貫性の原理」と「自己知覚理論」が基盤。高額セミナー・カルトは無料体験→低額講座→高額コース→全財産投入という段階的エスカレーションを設計する。各ステップでサンクコスト(BUG-004)が蓄積される。
BUG-015
認知的不協和の解消
Cognitive Dissonance Resolution
自分の信念・行動・価値観の間に矛盾(不協和)が生じたとき、その不快感を解消するために、現実や行動を変えるのではなく信念を書き換えるバグ。矛盾を指摘された際に根拠なく信念を強化し、反証への抵抗が高まる。投資額・コミット量が大きいほど作動しやすい。
BUG-016
孤立化脆弱性
Isolation Vulnerability
外部の支援ネットワーク(家族・友人・反対意見)から切り離されることで、操作者の世界観への依存が急増する状態。カルトは入信後に「外部の人間は理解できない・危険だ」と教え込み、脱退のコストを最大化する。孤立化が完成するとBUG-010(共有精神病)が加速する。
BUG-017
バーナム効果
Barnum Effect / Forer Effect
誰にでも当てはまる曖昧で一般的な記述を、自分だけへの正確な洞察と解釈するバグ。占星術・血液型診断・タロット・性格テストが機能する主要メカニズム。「あなたは時に自信家だが内心は不安を感じることもある」という記述は地球上のほぼ全員に当てはまる。
BUG-018
グルー崇拝カスケード
Guru Halo Cascade
カリスマ的指導者への服従が段階的・累積的に深まり、最終的に批判的評価能力を喪失するバグ。ハロー効果(BUG-003)の組織的・時間的な拡大版。一度「この人は特別だ」という初期判断が形成されると、以後の言動のすべてが同じフィルターで再解釈される。反証が提示されるほど崇拝が強化される逆説を伴う。
BUG-019
感情的推論
Emotional Reasoning
「感動した=真実だ」「怖い=危険だ」「信じたい=正しい」という形で、感情的な確信を客観的証拠の代替として使うバグ。疑似科学セミナーにおける「体験して感じた変化」が、介入効果の証拠として機能するのはこのバグによる。CBT(認知行動療法)ではこれを最も基本的な認知の歪みとして扱う。
BUG-020
段階的正常化
Gradual Normalization / Psychic Numbing
段階的にエスカレートする要求・状況・環境の変化を「普通」と認識し、異常を異常として認識できなくなるバグ。カルトの段階的コミット誘導(BUG-014)の受容側メカニズム。最初は異常に見えたことが、慣れによって参照点が書き換えられ、新たな「普通」になる。ゆでガエル現象の認知的説明。
BUG-021
バックファイア効果
Backfire Effect
自分の信念に対する反証データを突きつけられると、信念が揺らぐどころか逆に強固になる認知バグ。反証が「攻撃」として処理されるため、正しい情報を与えるほど対象者が深みにはまる。カルト・陰謀論の「免疫壁」として機能する。
BUG-022
パラノイア・インジェクション
Paranoia Injection
「外の世界は敵だ」「あなたの家族は洗脳されている」という恐怖の幻影を集団内で増幅させ、対象者を外部から完全に遮断する手口。孤立した対象者は情報の検証手段を失い、加害者の提供する情報のみに依存するようになる。
BUG-023
選民インジェクション
Chosen One Exploit
「あなただけが真実に気づいている」「この情報を理解できる人は稀だ」と対象者の自尊心に特権意識を注入する手口。一般大衆への軽蔑と集団への帰属意識を同時に醸成し、離脱コストを極大化する。陰謀論・高額セミナー・カルトで汎用される。
BUG-024
代理トラウマ誘導
Vicarious Trauma Induction
実際には体験していない悲劇・迫害・苦難の物語を繰り返し聞かせることで、対象者に「擬似的なトラウマ」を植え付ける手法。共同体の「被害者性」を共有させ、結束と敵意を強化する。宗教的殉教者譚・民族的被害史観・反ワクチン運動で使われる。
E = Exploitability(悪用容易性) · I = Impact Range(被害範囲) · D = Detect Difficulty(検出難易度) · スコアは 0–10