アヌラーダプラ:2,300年生き続ける菩提樹と、ピラミッドに匹敵する仏塔の都
約1,300年にわたってスリランカ最初の首都であり続けた古都。紀元前3世紀にインドから持ち込まれたとされる菩提樹の接ぎ木(スリー・マハー菩提)が現在も生育しており、『世界最古の記録を持つ生きた植物』とされる。高さ54m以上の巨大ダーガバ(仏舎利塔)が3基残り、その建設規模はエジプトのピラミッドに匹敵するとされる。
- 内戦(スリランカ内戦1983〜2009年)による周辺地域への影響
- 熱帯気候による石造遺構の風化・植生侵食
- 信仰地としての利用と保存の調整
遺産の概要
アヌラーダプラはスリランカ北中部に位置する古都で、紀元前4世紀頃から993年まで約1,300年にわたってスリランカの首都であり続けた。仏教が導入された紀元前3世紀以降、スリランカ仏教の中心地として発展し、宮殿・仏舎利塔・僧院・貯水池が計画的に整備された。
南インドのチョーラ朝の攻撃と内紛によって衰退し、993年にチョーラ朝の攻略を受けて首都機能をポロンナルワへ移した。その後密林に覆われて「失われた都市」となり、19世紀の英国植民地時代の探索と発掘によって再発見された。
スリー・マハー菩提:2,300年前から生きている
アヌラーダプラ最大の宗教的象徴がスリー・マハー菩提(聖なる菩提樹)だ。伝承によれば、紀元前288年頃、インドのアショーカ王の娘サンガミッターが釈迦が悟りを開いたとされるブッダガヤーの菩提樹(インド菩提樹)の枝を持参し、スリランカ王に授けた。
この接ぎ木が現在も生育しており、「植えられた年代が文書で確認できる世界最古の木」として知られる。2,300年以上にわたって仏教聖地として守られ続けてきたこの木は、世界で最も歴史が記録された「生きた生命体」のひとつだ。現在も多くの巡礼者が訪れる現役の礼拝対象であり、24時間警護が続けられている。
三大ダーガバ:ピラミッドに匹敵する信仰の土木工事
アヌラーダプラには高さ54m以上の巨大なダーガバ(仏舎利塔)が3基残る。
- ルワンウェリサーヤ: 高さ約55m・直径91m。紀元前140年頃建立。白く塗り直された巨大な半球形が青空に映える。
- アバヤギリ・ダーガバ: 高さ約72m(最大時)。紀元前1世紀創建の大僧院「無畏山寺」の中心。9,000万個以上の煉瓦を使用したとされる。
- ジェータヴァナラーマ・ダーガバ: 高さ約70m以上。3世紀建立で、建設当時は世界第3位の高さの建造物だったとされる。
これら3基の体積はいずれもエジプトの王家の大型ピラミッドに匹敵するか上回り、古代スリランカの社会動員力と工学技術の高さを示している。
記録メモ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| UNESCO ID | 200 |
| 登録年 | 1982年 |
| 首都期間 | 紀元前4世紀〜993年(約1,300年) |
| スリー・マハー菩提 | 紀元前288年頃植樹・世界最古の記録付き生木 |
| ルワンウェリサーヤ | 高さ55m・直径91m(紀元前140年頃建立) |
| ジェータヴァナラーマ | 高さ70m以上・煉瓦推定9,300万個 |
| 廃都時期 | 993年(チョーラ朝占領後) |