イエローストーン国立公園:スーパーボルカーノの上に立つ世界初の国立公園
1872年に世界初の国立公園として制定された地熱地帯。地下に巨大なマグマ溜まり(スーパーボルカーノ)を持ち、1万以上の熱水地形——間欠泉・熱泥沼・虹色の温泉——が集中する。オールド・フェイスフル間欠泉は90分おきに熱湯を噴射し続ける。最後の巨大噴火は64万年前で、次の噴火が起きれば北米大陸規模の壊滅的影響をもたらすとされる。
- 地熱・鉱業開発の圧力(公園境界外)
- 観光過密による地熱地形の踏み荒らし
- 外来種の侵入(特に外来魚類)
- 気候変動による水系・生態系の変化
遺産の概要
イエローストーン国立公園は、米国西部のロッキー山脈地帯、ワイオミング・モンタナ・アイダホ三州にまたがる面積8,983平方キロメートルの広大な自然保護区。1872年3月1日、ユリシーズ・グラント大統領の署名によって「世界初の国立公園」として制定された。
公園内には1万以上の地熱地形が集中しており、これは地球上の地熱地形の約半数に相当する。世界最大規模の間欠泉群、色彩豊かな温泉池、沸騰する泥沼、熱水噴出口が作り出す景観は、他のいかなる場所にも存在しない。
スーパーボルカーノという地下の現実
イエローストーンの地熱活動の源は、地下に存在する巨大なマグマ溜まり——いわゆる「スーパーボルカーノ」だ。このホットスポットは北米プレートの下に固定されたマントルプリュームによって生み出されており、プレートの移動とともにイエローストーンの「噴火記録」がスネーク・リバー平原として大陸に刻まれている。
過去の巨大噴火は210万年前、130万年前、64万年前の3回確認されている。最後の噴火(64万年前)は火山爆発指数8の「超巨大噴火」で、噴出量は約1,000立方キロメートルに達した。この規模の噴火が現在起きれば、噴煙が北米全土を覆い、農業生産に壊滅的な影響を与えるとされる。
オールド・フェイスフルと熱水地形
オールド・フェイスフル間欠泉は、公園内で最も訪問者が集まる地点。約45〜120分(平均約90分)の間隔で、高さ20〜55mの熱湯を1.5〜5分間噴射する。名前の「フェイスフル(faithful:忠実な)」は、19世紀の探検家が噴出の規則性に感銘を受けてつけた。
グランド・プリズマティック・スプリング(面積約0.73ha、深さ約49m)は、イエローストーン最大の温泉池。中心部は100℃近い高温で生物が存在できないため透明な青色をしており、外縁に向かって温度が下がるにつれて青・緑・黄・橙・茶と変化する色帯が広がる。この色は好熱性バクテリア(シアノバクテリアや古細菌)のコロニーによるものだ。
野生動物の聖域
イエローストーンはバイソン(約5,000頭)、グリズリーベア(約600〜700頭)、オオカミ(1995年に再導入)を含む大型哺乳類の重要な生息地でもある。特にオオカミの再導入(1995〜96年)は「トロフィックカスケード(栄養カスケード)」の典型例として生態学的に注目されており、オオカミの復活がエルクの行動を変え、河川植生の回復をもたらしたとされる。
記録メモ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| UNESCO ID | 28 |
| 登録年 | 1978年 |
| 国立公園制定 | 1872年(世界初) |
| 面積 | 8,983km² |
| 地熱地形数 | 10,000以上 |
| 最後の超巨大噴火 | 64万年前 |
| オールド・フェイスフル噴出間隔 | 平均約90分 |
| バイソン頭数 | 約5,000頭 |