世界遺産異変
サン・ミゲル・ダス・ミソンイス
18世紀初頭、南米の密林にイエズス会士たちはグアラニー先住民とともに「神の国」の建設を試みた。サン・ミゲル・ダス・ミソンイスはその最大の達成であり、同時にその夢の墓標でもある。バロック様式の石造聖堂跡は、ヨーロッパ建築とグアラニーの造形感覚が融合した独自の言語を語りかけ、かつて数千人の住民が暮らした都市の輪郭を今も大地に刻んでいる。1767年のイエズス会追放令は、この精緻な社会実験を突然終わらせ、住民たちは離散し、建造物は熱帯の植生に飲み込まれていった。発掘・修復された現在の遺跡は、構築と喪失、理想と現実の境界に静かに立ち続けている。