世界遺産異変
杭州西湖の文化的景観:詩人が1,000年かけて設計した、人工と自然の境界消失
浙江省杭州に広がる西湖は、湖そのものが9世紀以降の詩人・文人・為政者たちによって意図的に形成された「文化的自然」だ。蘇軾(蘇東坡)ら歴代の行政官が湖底の浚渫土で築いた堤や島が独特の景観を生み、その美がさらに詩・絵画・造園の規範となって日本・朝鮮・ベトナムの庭園文化に波及した。世界遺産登録面積は約3,323haで、1,000年以上にわたり人が手を入れ続けながら「自然に見える」景観を維持してきたという逆説が、この湖の本質的な謎である。