世界遺産異変
ホヤ・デ・セレン:遺体ゼロ——住民全員が脱出した火山噴火と、1,400年間眠り続けたマヤ農村
西暦590年頃、突然の火山噴火によって数時間で火山灰に埋没したマヤの農村遺跡。「中央アメリカのポンペイ」と称されるが、ポンペイと異なるのは遺体が一体も発見されていない点だ。夜中の噴火に住民全員が逃げ延びた可能性が高く、放棄された村には食料・農具・寝具・炊事道具がそのまま残された。貴族や神殿ではなく一般農民の日常生活が保存された例は世界的に極めて珍しく、マヤ文明の「庶民の実態」を初めて明らかにした遺跡として考古学史に革命をもたらした。